■ 鎌田栄さん

 




●アスパラガスの全身図

精鋭アスパラボーイズ、ぐんぐん生育中。

の日ざしでほこほこ暖まった畑から、いちばんに顔を出すグリーンアスパラガス。よ〜く観察してみると疑問がわいてきませんか。これって植物のどの部分?葉っぱはいずこ?まずはこの疑問、長年アスパラ栽培の技術指導を手がけてきた吉本寿男(よしもとひさお)さん(ホクレン農産事業本部・種苗園芸部主任技師)に解明してもらいましょう。
 「アスパラは植物学的にとてもユニークな特性をもっています。ふつう植物が発芽するとき、土から最初に出てくるのは1〜2枚の子葉ですね。ところがアスパラは、いきなり芽が出現してくる。私たちが食用にしているのは伸び出したばかりの若い茎なんです」。
 これを刈り取らずに育てるとどんどん枝分かれして、先端が松葉のような形になります。当然これが葉っぱと思いきや・・・「茎が変形したものです。ただ葉と同様に光合成をして養分をつくるので、擬葉と呼ばれています」。
 本当の葉はなんと鱗片、三角形をしたあのハカマです。こちらは特に仕事をするでもなく、茎が成長すると自然に落ちてしまうそう



「アスパラには雌と雄があることは知っていますか?」と吉本さんからさらに意外な話が。実はアスパラガスはユリ科の多年生植物で雌雄異株。つまり雌株と雄株とがあるのですが、雄の方が苗の発育がよく、若茎の出方が2〜5割も多いのだそうです。
 収量を考えるとダンゼン優秀な雄株だけを植えたいところ。でも雌雄の違いは花の形のみ、開花を待たなくては区別がつきません。(ちなみに雄株にはおしべのみが発達した丸い花が咲きます。雄からの花粉を受け止めると雌は小さな赤い実を結びます)。
 そこで最近は雄株増殖の技術開発が盛んになり「全雄性(ぜんゆうせい)といって99%以上が雄に育つF1品種(一代交配)が誕生して、導入する農家がどんどん増えています」。女性にとっては少々複雑な心境になる話ですが、アスパラ界は圧倒的な男性優位になっていたのでした。



年生のアスパラの寿命は意外に長く、1度植えると10〜15年もの間ずっと収穫ができます。株は寿命を終えると掘り上げられ、新しい株へと更新されるわけですが・・・。
 種子を蒔いたその年に収穫できるようにならないのがまた特性。種から苗を育て仮植して1年、本畑に定着して2年、まる3年かけて根株を育てなくてはあの太い若茎は出現してきません。つまり株を更新する畑は4年後まで何も生み出さないことになるのです。
 これを少しでも手助けしようというのが、苗づくりを引き受けるホクレンの種苗生産センター(滝川市)。さっそく訪ねてみると日ざしが眩しい温室内にありました!
 出茎1日目と4日目の苗。驚いたことに1日目の茎は、身長3cm・太さ0.5mmのチビッ子にして、もうリッパなアスパラの形をしています。このまま30〜35日間温室で育てた苗はすぐに本畑に定植できるので仮植が不要。1年早い収穫が可能になるのだそうです。



の苗が収穫を迎える3年後の春。茎が出る前に盛り土をして日ざしを遮って育てるとホワイトに。太陽を思う存分当てて育てるとグリーアスパラになります。
 品種は全く同じですが、栄養成分はグリーンの圧勝。免疫力を高めるβカロチン、心身の活力源になるビタミンB1・B2はほうれん草並み。鉄分や、野菜には珍しいたんぱく質も豊富。しかも葉菜類に比べて表面積が小さい分、加熱時の損失が少ないというメリットもあります。さらに新陳代謝を活発にしてスタミナを強化する、その名もアスパラギン酸や、高血圧を予防するルチンという特殊な成分も、特に穂先にたっぷり含まれています。
 北海道のアスパラは長い冬の間にゆっくり育つので、栄養成分も味も濃いと評判。季節の変わり目の体調管理にお役に立ちます。


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