■ 大久保隆男さん

 





四季を通じて、いつも身近にあるために。

本の野菜生産量ナンバー1の座は、大根に譲っているけれど、キャベツは堂々2位。大根は4割近くが加工用に回りますから、青果として出回る量はだんぜんトップ! とんかつの付け合せに、お好み焼き…、需要は一年中、途切れることがありません。
 そんな人気に答えるために、キャベツの生産は生育適温15〜20℃の地を求めて日本中を移動、栽培リレーが行われています。冬期間は温暖な愛知、春先は千葉・神奈川などの関東地方、そしていよいよ夏から秋は群馬・長野と北海道が主産地として活躍します。
実はその顔ぶれも、「ボール系」「サワー系」「寒玉」と、形や葉質、巻き方の異なる3タイプ(品種となると数え切れないほど!)が、季節の変化とともにバトンタッチ。少しずつ変わりながら、一年を通してお店に並んでいるのです。



海道では2月中旬からハウスに定植を始める道南を皮切りに全道でくまなく栽培されています。そんな中、めきめき知名度を上げている産地が鹿追町。そのワケを探るべく、JAの野菜センターを訪ねました。
「鹿追の主力は畑作4品(ビート・小麦・馬鈴薯・豆)ですが農業の将来を考え、より足腰の強い経営をめざそう、というのがキャベツを取り入れた始まりです」と話してくれたのは農産課の河辺哲也さん。「91年に『しかりべつ高原野菜出荷組合』を結成し、本格的に栽培に取り組んで10年がたちました」。



されたのは完全オートメーションの大規模工場。と思いきやなんとそこは育苗施設。町内128ヘクタールのほ場分、全量をまかなう苗が育てられているのです。向こうが点に見えるほど巨大な温室にびっしりの苗、そのすべてがキャベツです!(ちなみに品種はサワー系の『藍春ゴールド』と『涼波』の2種)
 栽培中もっとも手のかかる育苗を一手に引き受け、全自動定植機や出荷時の段ボールを組み立てる機械の導入…。生産者の手間をなるべく軽減する体制がとられているのです。
「工業製品並みの安定した出荷をしなくては、市場の信頼は得られませんから」。
もちろん品質面での評価も上々。というのも鹿追は十勝管内の中でも海抜の高い地ですが、キャベツのほ場はさらに高い場所。



ャベツが嫌うのは高温多湿。湿気が多いと病気が出やすく、高温になれば虫の害が増えます。で、湿気を逃す風が吹き抜け、真夏も涼しい高原で育てると…「農薬も少なくて済むんだよ」と教えてくれたのは、栽培面積町内一のキャベツ農家・大久保隆男さん。
 特に大敵の害虫コナガには町内あげて対抗。虫が発する匂い物質フェロモンを人工合成した仕掛けでおびき寄せ、発生の状況を正確に把握。パソコンによる温・湿度の観測データも照合して最も効果的な時期を予察し、最低限の防除で済むようにしています。加えて除草も全て人手。クリーンさにかけても一級品です。



い畑を訪ねたのは5月上旬。曇り空で風も強かったその日は涼しい、というより寒い! 定植が始まったばかりの畑には、ところどころ葉が黄色く変色している苗の姿も。
「この間、霜にやられたんです。でも大丈夫。生長は遅れるけど復活します」というのですから、いかに寒さに強いかわかりますね。
 このあと大久保さんの畑では7月から10月まで継続的に出荷できるように、一定の期間をおきながら18回に分けて苗を定植します。
 本誌がお手元に届くところ、やっと1作めの収穫がスタート。これだけは機械化ができず、ひとつひとつ虫や病気の有無、葉の巻き具合などをチェックしながら刈り取ります。これを1箱に8個(総重量約10kg!)詰めては運ぶ、の繰り返し。大規模なだけに出荷のピークともなれば「とっても、かなわんわ(笑)」。
 収穫されたキャベツはすぐに予冷施設に運ばれ、冷蔵輸送で全国へ。鹿追のキャベツは70%以上道外に出荷されるそうですから、皆さんともきっとお会いできることでしょう。


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