期待に応えて、中身もどんどん進化しています。
黄金色の皮、身が締まって硬く、辛〜い玉ねぎ。健康効果の高い玉ねぎは、北海道産の玉ねぎの特徴とぴたりと一致します。これは国内生産量の約半分を占める北海道が、長期間の需要に応えるため、貯蔵性の高い品種の開発に励んだ結果でもあります。
もともと玉ねぎには「休眠」という性質があり、玉が肥大し地上部が枯れたあとは、生育に適した条件が与えられても一定期間は発芽しません。この時期は品種によって異なり1〜3ヶ月ほど。さらに温度・湿度を管理することで休眠時間を延長することができるので、北海道では秋に収穫した玉ねぎを翌年の春まで貯蔵し、出荷しているわけですね。
現在の主流は、スーパー北もみじ、オホーツク1号、カムイ、ウルフなどの辛い品種ですが、畑でしっかり完熟させているので、いずれも糖度8〜10度。果物並みの高さです。

辛みの成分は加熱で甘みに変わる。これまではそういわれてきましたが、辛みと甘みは別の成分であることがわかりました。辛みは加熱すると揮発してなくなり、水分の蒸発によって濃縮されるので、糖度が高ければ、甘味はより強く感じられるわけです」
こう教えてくれたのはホクレン長沼研究農場の森尚久さん。森さんは北見農業試験場と玉ねぎの品種改良を行っています。北海道の玉ねぎは辛過ぎるとの市場の声もあり、ここ数年のテーマが貯蔵性があって辛みが少ない品種。「貯蔵性と辛みは比例すると考えられていますがそうともいえないのでは・・・」
と思うようになったのはオランダから導入した新品種の存在。北海道では昭和40年代に乾腐病が大発生し、壊滅的な被害を受けた苦い経験があります。病気に強い品種の必要性からも日本の在来種やアメリカの品種などによる改良が盛んになったのですが「オランダの系統は使ったことがなく、導入してみたら中に優れた性質のものがあった。これを母親にして何種類もの子供を育ててみたんです。」

そのうちのひとつがみごと実を結び、94年に北海道の優良品種に決定。『蘭太郎』の名でデビューを果たしています。
「蘭太郎は肉質が柔らかく、ソテーにしたときの甘みが際立って高い。貯蔵性の面でも見劣りしません。で、さらに改良版をということで開発に成功したのが北見交27号。一昨年に品種に決定、『さらり』と名づけられて昨年は訓子府・富良野などで栽培されました」
研究農場の試験ほ場に『さらり』が植えられていると聞いて見せてもらうことに。
ほ場には、まるまる太った玉ねぎがきれいに列をなしています。見た目はどれも同じようですが、ここには13品種、ほかのほ場を含めると50〜60品種が育てられているそうです。

さらりの名札が立てられた列に近寄ってみると、ほかに比べて玉がきれいな地球型。大小のばら付きもなく、とても美人です。
「輪切りにすると違いがよく分かりますよ。さらりはりん片が厚くて、さくさくした歯ごたえが特徴。北海道玉ねぎの中ではもっとも辛みが少なく、甘味を強く感じる品種です。」
まだ作付面積が少なく市場にはほとんど出回っていないのですが、加工業者やバイヤー、消費者の方々を対象に行った食味試験の結果は上々。 ただ「タネをつくるのに時間がかかるので市場に出回るにはあと数年かかりそう」とのこと。もうしばらくお待ちくださいね。
生食から加工用まで多彩なニーズにお応えできるよう品種の品揃えを充実させている北海道。森さんの次のテーマは「食味や健康成分に優れ、病気に強く減農薬でもつくりやすい品種」
北の玉ねぎは今も進化を続けています。
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