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生まれも育ちも型破り
一風変わった収穫風景からもわかるように、長いもは型破りな作物です。春先の作業でまず重要なのが畑の整備。素直にいもが成長できるよう、地下水の近くや粘土地を避け、石のない畑を選んで1メートル20センチの深さまで土をふかふかに耕しておきます。

一方種の準備は3月下旬から。種子用に育てた長いもを輪切りにし、温度湿度をコントロールすると、表皮の部分に大豆状の芽が出ます。5月中旬、これをひとつずつ手で植えつけていくのですが、さてそのあとが大仕事。支柱を立て、ネットを張り、アイビーに似たツルをからませてやります。

「支柱が高ければ、どこまでも伸びますが、あんまり高いと、強風で曲がることがあるのでね。うちは地上部3メートルにしています」

なんと地下1メートルから空中3メートルの高さまで!長いもの生育環境は、びっくりするほど立体的です。収穫前には支柱を抜き、ネットを落とし・・・これまた大変な重労働ですが、「だけど夏の間は畑の観察と草むしり程度。大がかりな仕事はありません。」

なんて極端な作物でしょう。聞けばこちらでは農薬を全く使用しないといいます。一応長いもにも病気はあるらしいのですが、「観察していても、病気らしい病状が出ないのでね。10数年前から薬はやめてしまいました。今は畑にミミズがいっぱいいます」

安心!旨い!を最優先
ところで広山さんは人後に落ちない長いもも好き。食味には人一倍のこだわりをもっています。堆肥や肥料はごくひかえめに。かわりに鉄や亜鉛などのミネラル分をしっかり補給。いずれも「味がずっと良くなる・・・ような気がするから」と。「収穫は地上部がすっかり枯れて、いもが完熟してから。これは大原則です」

お話の端々に「おいしさ最優先」の心意気がにじみます。しかも土質に恵まれた大正地区の長いもは、毛穴が少なく肌の白いことで有名。外見的にも申し分ありません。

その評価は遠く海外にまで届き、最近は薬膳ブームの台湾へ、アメリカ・カリフォルニアへと、異例の輸出が続いています。「長いもは台湾でも生産されていますが、あちらのいもは細く黒くアクが強い。その点十勝産はアクが少なく変色しにくいので、大変喜ばれています。」まるで豊作を祝福するように、畑を縁どるカラマツ林が金色に輝いています。辛い災害が続いた'04年でしたが、自然は最後に、豊な実りをもたらしてくれました。
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