
授粉作業の様子。背中の機械からホースで風を送り、雄穂の花粉を雌穂に落として回ります。 |
「今年は低温傾向で、生育は例年より1週間ほど遅れています」北村優治さんはそういいながらスイートコーンのハウスに案内してくれました。
あ、います、います!背丈はまだ30〜40センチほどですが、縁が波打つ細長い葉っぱはまぎれもなくとうもろこし。道東ならまだ種まきも始まらないこの時期に、対面できるなんて感激です。
それもそのはず北村さんは、毎年のようにスイートコーンの早出しで道内一番乗りを果たしている人。「初出荷は6月26〜27日くらいでしょう。予測は3日とズレません」
ただしそのためには複雑にして高度なワザを駆使します。北海道のスイートコーンといえば、大スケールの栽培風景を想像してしまいますが、札幌近郊の新篠津村で目にしたのは全く対照的、丸かじりするのも畏れ多い?逸品コーンの世界でした。

高度なワザを駆使します
北村さんが手がけているのは『ララミー』『味来』『ピュアホワイト』の3品種。いずれも中生の品種です。早期出荷を狙うなら当然早生、と思いきや「早生は糖度がのらず、粒皮も硬い。新篠津村は甘さとやわらかさを売りにしてきたので、市場の期待に応える意味でも、早生系に走るわけにはいきません」
中生を用いながら、どこよりも早く育て上げるところに独自の技術があります。育苗しかり。定植後の肥培管理しかり。中でもカギとなるのが小さいうちの「高温管理」。あえて生育可能なギリギリのところまで温度を上げ、雄穂の伸びる時期を早めるといいます。言葉にすると単純そうですが、「温度だけでなく、水の打ち方、追肥の仕方、全部からんできます。ひとつ間違えば大失敗します」
これぞ名人芸の世界ですね。しかも露地とは違いハウスでは、受粉のプロセスも自然任せにはできません。前述のようにとうもろこしは他殖性作物。雄穂の花粉が風に運ばれて、別の株の絹糸に付着します。しかしハウスでは、肝心要の風が吹きません。さてどうしましょう。「自分で工夫した送風機を背負いましてね、風を送ってまわるんですよ。雨降りでも曇りでも、これはもう絶対に休むことはできない。受粉しなければ実が入りませんから」
まるで風の又三郎みたい?北村さんはなんと人力で風をおこしているのでした。
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