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「今年は少し玉が小さいんですが、味はいいんじゃないかな。糖度を計ったら6.5〜7%ありましたから」
大崎哲也さんはそう言いながらハウスに案内してくれました。お訪ねしたのは5月初旬。3月定植の株がちょうど収穫期を迎えています。腰をかがめてのぞきこむと、ありました!赤く色づいたトマトがいくつも。舞台裏を明かしますと、これは撮影用に残しておいてもらったもの。なにしろ収穫は早朝。水田作業と重なる時期なら「朝というより夜の続き(笑)」の午前3時半。私たちには到底太刀打ち出来ません。

北海道一のトマト産地・平取町。大崎さんは160戸のメンバーを束ねる生産部会のリーダー。豪傑笑いを響かせる表情は、品種名『桃太郎』のキャラクターそのまま?です。
さて、もいでもらったそのトマトは、手にずしっと重い。「水に沈む」のは間違いなしです。ガブッとやると、甘さの中にくっきりした酸味があって、これはただものではありません!「最低でも糖度6%以上というのがうちらの目標。ただ暑くなると、成長が早まるので、どうしても大味になってしまう。それがいまの検討課題。今年は農家ごとの糖度を測定し、優秀な人の技術を全体で共有していきたいと思っているんですよ」
さすが北海道一のトマト産地。おいしさへのこだわりは半端ではありません。

土づくりに力こぶ
おいしいだけではありません。平取町のトマトは安全性への気配りもばっちり。平成11年には農薬・化学肥料を従来の半分に削減し、北のクリーン農産物(YES!clean)の認証を受けました。「安全性なんて当たり前のことですけどね。農薬に頼りすぎると、すぐに耐性菌がはびこるし、地力も落ちる。結局悪循環なんですよ」

そのためには目と頭をフル稼働。たとえば天敵利用もそのひとつです。悪い菌を寄せつけないようあらかじめ納豆菌の一種を葉面散布。初期の病気なら炭酸水素ナトリウム(重曹)で退治することもできます。

さらに大事なのは土づくり。トマトの後作にはきゅうりやほうれんそう、緑肥を植えて、余剰養分を吸収させます。このあたりは競走馬の産地だけに、厩肥は豊富に手に入りますから、秋の終わりには完熟させたその堆肥を10アール当たり5トンも投入。根が深く張れるように深耕をかけ、魚粕などの有機質肥料を入れる、とまさに至れり尽せり。

大崎さんは28年間同じことでトマトを作り続けているそうですが、そんなことが可能なのも、こうした土づくりのおかげなのでしょう。「農薬による土壌消毒は一切やりません。また本州では接ぎ木栽培が一般的なんですが、うちらは接ぎ木もしていません。本州から視察に来た人はみんな不思議がります。信じられなくて、株の根元をじーっと見ています(笑)」
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