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「はっきり言ってゆり根は大変ですよ〜。一般野菜とは全然違います。生育期間もかかる手間も、5倍6倍じゃきかないでしょう」

羊蹄山麓の真狩村は料理人も一目置く名品ゆり根の大産地です。藤田英則さんはお父さんの代から40年もゆり根栽培を続けてきました。その大ベテランでも、複雑な生育過程を説明するのは難しいらしく、しばし思案の表情。「図解すればわかりやすいんだけど。最初は農協から来るタネ球を植えて、それを植え替えて、また植え替えて・・・」

あ、もう頭がこんがらがってきました!何度も説明してもらい、やっと見えてきた道筋はこうです。最初の2年はタネの増殖。指先ほどの小さなウイルスフリー球を大きく育て「母球」にします。そのりん片の1枚1枚がゆり根のタネ。さてここからが本番です。病気を媒介する虫から守るため、タネを網室に植え、隔離栽培して1年。3〜5gの「子球」ができます。秋にこれを全部掘り出し、別の畑にお引っ越し。1年かけて「養成球」になります。さらにもう1年同じ作業を繰り返し、100〜150gの「販売球」となって、やっとフィニッシュ!まことに数奇な一生です。

気難しさは天下一品
3年がかりのゆり根栽培。その間の世話は一から十まで手作業の連続です。夏のつぼみもぎ、秋の植えつけ、収穫に至るまで「こればっかりは機械じゃできない」。

しかし驚くのはまだ早い!?輪をかけて大変なのが畑のやりくりです。ゆり根は長期輪作が原則で、7〜10年は間をあけねばなりません。それも「水はけ・通気性のいい土地で、根菜類のあとは避けたい」というのですから、よくよく気難しい。作付予定の畑には2年前からエンバクを植え、緑肥としてすき込んでおきます。しつこいようですが、1年目の畑も2年目も3年目も、この原則は変わりません。

お訪ねした9月下旬は、植えつけ・収穫を目前に控えた時期でした。台風18号が各地に甚大な農業被害をもたらしたあとだけに、畑の様子が心配でしたが、おお、たくましい!藤田さんのゆり畑はあの強風にも耐え抜いて、青々とした葉を繁らせています。
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